[日記] 人前で男とはしゃぐブスを男は止めるべき
とある不思議な縁で10年来の付き合いとなっている友人に、3年ぶりに会った。
10年前は二人とも関西の別々の県に住んでいたが、今は同じ渋谷で働いている。こないだ携帯のアドレスを変えた際に返事が来て、久々に飲もうかという話になった。
Kというその友人との出会いを説明するのは非常に難しいが、一言でいえば"尾崎豊つながり"だ。二人とも中学・高校時代、尾崎豊にどっぷりハマっており、その縁で知り合ったのだ。
※ ※ ※
渋谷で私立校の教師をやっているKは、土曜日も仕事だったので、仕事終わりに渋谷で会うことになった。久しぶりに会った彼は、老けていた。まあなんとも見事にオッサンになったもんだ。おれと同じ27歳のはずなのに・・・。もともと老け顔ではあったが。
とりあえずクロスタワー近くの安居酒屋に入る。
まず冒頭に彼が2年前に結婚していたことを聞かされ、びっくりする。しかも何千万もするマンションも買ったとか。さらに年収が俺の1.5倍。
「まあ、お前と違って安定志向だからな」
なぜかなぐさめ(?)のような言葉をかけられた。でも他意がないことはわかっていたので気にしない。決して穏やかな気性ではないが、俺と違って嫌味や皮肉をいうようなやつではない。
その後、2時間ほど居酒屋でうだうだやっていたのだが、しゃべっていたのはほとんどK。最近やっと生徒がかわいく思えてきただの。今マンションは底値だから買いだの。嫁さんとのなれ染めだの。
俺はハイボールにレモンをしぼりながら、なんか、イライラしていた。Kはそれに気づかないようだった。
店に入って30分くらい経ったところで、俺はもう帰りたくなっていた。こいつはもう、俺とは別の違う世界で生きているのだということがすぐにわかった。仕事場とか、周りの人間とか、そういう外的要因のことだけを言っているのではない。こいつはもう、15歳の記憶を持っていないのだ。
それが俺のイライラの原因だったことに気づいた。俺は今日、15歳のKと、15歳の自分に会えることを期待してここにきたのだということに。
★ ★ ★
店を出たあと、1時間だけ球をついた。3ゲームやって、大人げなく3ゲームとも勝った。途中、奥さんからかかってきた電話に、Kは「もうすぐ帰るから、ね」と申し訳なさそうに応えていた。おれはもう少し遊んでいたかった。
駅で別れるとき、Kは「職場も近いんだし、これからはちょくちょく飲もうぜ」と言った。それが社交辞令でないことはもちろんわかっていた。俺はうなずいて手を振ったが、もうあまり彼に会いたいとは思わなかった。
☆ ☆ ☆
過去にしがみつく人間はカッコ悪い。
今日Kに対して感じたのと同じ感情を、俺は過去に別の友人に対して感じたことがある。その女の子は、まるで無常なるものの摂理を説き諭すように、優越感に浸った目で俺のことを見ていた。その目には明らかな嘲笑の色と、憎しみが浮かんでいた。だがその憎しみは、俺ではなく、過去の弱い彼女自身に向けられているように、俺には感じられた。彼女はそれを、その記憶を、俺ごと打ち消そうとしていたのだ。
だが待ってほしい。
それこそ弱さじゃないだろうか。
▲ △ ∴
渋谷から帰ったあと、無性に球が突きたくなったので、半年ぶりにキューを持って近所の球屋に出かけた。2時間ほど突いているとちょっとずつ昔の感覚が戻ってきて、同時に、師匠や常連たちの顔が懐かしく思い出された。
隣の台では、さっきからブサイクな女が連れの男と騒いでいる。「あれ入ったら、チューしてあげる!」そんな光景さえ懐かしかった。
もちろん、イラッとした。

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